デザインを学んでいない人にとって、チラシやカタログ、WEBなどのデザインをデザイナーへ発注することはハードルが高いと感じるかもしれません。でも大丈夫です。自分のやるべきことがわかっていればハードルは下げられますし、依頼する際のポイントを掴んでいれば難しいことはありません。デザイナーへの発注は、質の高い広告デザインが作れるという大きなメリットがありますので、最大限に活用していきましょう。
それでは、デザイン制作会社の視点からデザイン発注の流れとポイントをお伝えします。
デザイン発注から納品までの全体の流れを把握しましょう。細かな進め方はプロジェクトごとで違いがありますが、大きな流れは同じです。
スケジュールや概要などの基本事項を伝え、制作依頼をする。
ターゲットや目的など、概要よりも詳細な情報を伝え、デザイナーへ発注をする。
デザインが上がってきたら、確認とフィードバックを繰り返して完成させていく。
フィードバックが完了したら、必要な形式で納品してもらう。
納品方法はプロジェクトによって様々です。例えば…
印刷の場合:印刷会社へ入稿データを納品
WEBの場合:WEB上での公開、もしくは公開用データを納品
デザイン発注をする前に、どのような準備が必要になるのか把握しておきましょう。その際に気を付けたいポイントも併せてお伝えします。
全体のスケジュールを組む時は、納品日から逆算して考えます。
デザイン制作は、1度の提出で完成することは少なく、何度も修正を繰り返してようやく完成します。アイデアを考えるのにも時間が必要ですし、確認をするのにも時間が必要です。納品間近になってきたら、社内での確認でさらに多くの時間が必要になるかもしれません。ギリギリのスケジュールにしてしまい、デザインのブラッシュアップを諦めなければいけない、となるのは避けたいですよね。そのためにも、制作と確認でそれぞれ5営業日くらい時間をとり、余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。
依頼をするうえで必要となってくるのが予算の提示です。 デザイン業界は明確な単価基準がありません。というのも、会社規模や制作量、掲載媒体によって価格は大きく変わっていくからです。詳細な金額は納品後に決まることが多いですが、依頼する際に金額感を提示しておくことで、双方での共通の認識をもつことができ、請求時のトラブルを避けられるかもしれません。
必ず必要な情報として、掲載媒体と納品形式を決めておきましょう。 一言にデザインといっても、掲載媒体によって見せ方は異なりますし、デザイナーによっては得意としているジャンルや、専門的な知識をもっていることもあります。そして、意外と見落としてしまうのが納品形式やガイドラインです。制作がスタートしてから伝えると、デザインの構造から変更しないといけない!ということにもなりかねません。アウトプット方法は、プロジェクトの初期段階で決まる場合がほとんどですので、依頼の際に伝えるようにしましょう。
デザイナーとの打ち合わせで何を話せばいいのかわからない。と、手探り状態の人もいるかもしれません。もし必要な情報を話し合えないままだと、制作が難航する可能性があります。では、具体的にどんな情報を共有しておくべきか、そのポイントについても詳しくみていきましょう。
ターゲットは具体的であればあるほど、デザインの訴求力は高まります。 学生、社会人、お年寄り、優しい、優柔不断、意志が強いなど、具体的な人物が想像できるくらい深掘りしてみましょう。具体的に決めるのが難しいという場合は、ターゲットに近い知人を1人思い浮かべて、その人の特徴を書き出してみると考えやすいですよ。
発注するデザインによってどのような効果をもたらしたいのか、明確にしましょう。 集客をしたいのか、ブランドイメージを向上させたいのか、販売促進に繋げたいのか、目的によってデザイン方法が大きく変わっていきます。また、掲載する媒体によってもデザイン効果が異なります。デザインの目的とその目的に合う掲載媒体を共有しておきましょう。
完成とするイメージを共有しましょう。言葉だけよりもイメージ画で見せらると、感度の高いイメージを伝えることができます。ここでのイメージ画は完璧である必要はありません。Web画像や雑誌の切り抜き、自分で描いたラフ画など、イメージが伝えられれば何でもOKです。ただし、1つだけではなく複数のイメージを共有しましょう。イメージの掛け合わせがデザイナーの創造を広げてくれます。さらに、どの部分が良いと感じたのか「ここの色味が可愛い」「この形が都会的でかっこいい」など感覚的なことでも良いので、できるだけ細かく伝えましょう。共通のゴールが共有できていると、制作のスピードや完成度が変わってきますよ。
デザイン制作においてフィードバックはとても大切な工程です。ブラッシュアップができないまま納品とならないためにも、デザインが上がってきた時の確認点や、フィードバック方法について詳しく見ていきましょう。
デザインが上がってきたら、まずは以下のポイントを確認してみましょう。
これらをチェックして、フィードバックを伝えていきます。
どうしてそのデザインにしたのか、読み取りが難しい場合はデザイナーに直接聞いてみるのがオススメです。デザインの背景にはデザイナーの想いが込められています。その想いとあなたが受け取ったものが同じか、という観点からフィードバックを行なうのもおすすめです。
デザイン制作には欠かせない工程とはいえ、伝え方には注意が必要です。まずは、ポジティブなフィードバックをして、その後で、改善して欲しい部分を伝えていきしましょう。その際に気をつけたいのは、修正はなるべくまとめて伝えること。気がついた点から細かく伝えていると、全体のトンマナが合わなくなってしまい全体を大きく修正する、という事態にもなりかねません。 また、具体的な改善案はわからないけれど、なんだか違和感がある!という場合は「この文字が読みづらい」「余白が気になる」「ごちゃごちゃしている」など、あなたがどんな違和感を感じているか伝えましょう。それをもとにデザイナーが解決策を提案してくれるはずです。この繰り返しがデザイン制作には必要な工程なのです。
デザイン制作における全体の流れを掴み、事前準備として決めておくべき事項を把握しましょう。事前準備が完了したら、いよいよデザイナーへの発注です。打ち合わせで話し合う内容を知り、制作作業がスムーズに進められるようにしておきます。
発注まで完了したら、デザインが上がってくるまで待つ期間です。デザインが上がってきたら、フィードバックを行うのですが、良い点と改善点をセットで伝えることを意識しましょう。
デザインを作るにはある程度の時間が必要なので、納品まで焦ることのないように、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
デザインを待っている間、デザイナーは何をしているの?と気になった方は、こちらの記事も参考にしてみてください。